ムサッハン。スマックで赤く染まった玉ねぎとローストチキンをフラットブレッドにのせたパレスチナ料理
🔪下準備25分
🔥調理65分
🌍料理パレスチナ料理

ムサッハンの作り方|パレスチナの鶏パン

29分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
STEP 11 / 7

玉ねぎを油で煮る(25分)

手順1: 玉ねぎを油で煮る(25分)

赤玉ねぎは繊維に沿って5mm幅に切ります。大きなフライパンにオリーブオイル100mlと玉ねぎ、塩小さじ1を入れ、弱めの中火で5分温めます。全体がしんなりしてきたら弱火に落とし、木べらで鍋底を返しながら20分煮ます。目安は、玉ねぎの量が半分になり、端が少し透き通り、油が赤玉ねぎの色を帯びる状態です。茶色い焦げを作る料理ではないので、鍋底が乾いたら水大さじ2を足して温度を下げます。

STEP 22 / 7

スマック玉ねぎにする(4分)

手順2: スマック玉ねぎにする(4分)

火を弱火のままにして、スマック大さじ3、黒こしょう、オールスパイス、クミンを加えます。2分混ぜ、粉っぽさがなくなって油が赤紫に染まったら火を止めます。残りのオリーブオイル20mlを加えて2分置き、玉ねぎが油を抱いた状態にします。酸味の香りが立ち、玉ねぎを持ち上げると油がゆっくり落ちるくらいが目安です。ここで強火にするとスマックが苦くなるので、香りを出すだけに留めます。

STEP 33 / 7

鶏肉に下味を入れる(15分)

手順3: 鶏肉に下味を入れる(15分)

鶏肉は皮目を上にして置きます。骨付きなら骨の横に、骨なしなら厚い部分に、包丁で長さ5cm、深さ5mmほどの浅い切り込みを2本入れます。塩小さじ1、レモン汁大さじ2、スマック大さじ1をすり込み、冷蔵庫の中で15分だけなじませます。オーブンを220℃に予熱してから鶏肉を取り出し、気温が高い日も下味をつけたまま室温に長く置かないでください。皮の上にスマックがまだらに残り、切り込みの中まで塩が入っていれば十分です。

STEP 44 / 7

鶏肉を高温で焼く(30分)

手順4: 鶏肉を高温で焼く(30分)

オーブンを220℃に予熱します。天板にオーブンシートを敷き、鶏肉を皮目を上にして並べます。220℃で25〜30分焼き、皮が濃いきつね色になったら中心を確認します。骨なし肉を使う場合は20〜23分から確認してください。中心の厚い部分が75℃に達してから1分以上保てたら取り出します。焼き汁はパンに少量かけるので捨てません。色や肉汁の透明さだけで安全とは判断しないでください。

STEP 55 / 7

パンに玉ねぎを広げる(5分)

手順5: パンに玉ねぎを広げる(5分)

オーブンを200℃に下げます。フラットブレッドを天板に置き、スマック玉ねぎを1枚につき1/4量ずつ広げます。端から2cmだけ余白を残し、中央は厚さ1cmほどにします。鶏の焼き汁を1枚につき小さじ2だけ回しかけ、200℃で3分温めます。パンの縁が少し乾き、中央は油を吸ってしっとりしている状態が目安です。

STEP 66 / 7

鶏肉をのせて焼き戻す(10分)

手順6: 鶏肉をのせて焼き戻す(10分)

温めたパンの上に焼いた鶏肉をのせます。鶏の皮を上にし、玉ねぎを少し持ち上げて肉の下にも入れます。200℃のオーブンで8〜10分焼き戻し、パンの縁が軽く反り、玉ねぎから小さな泡が出たら取り出します。焦げやすいオーブントースターの場合は180℃に下げ、途中5分で向きを変えます。パンの底が黒くなる前に止めるのが大事です。

STEP 77 / 7

ナッツとレモンで仕上げる(4分)

手順7: ナッツとレモンで仕上げる(4分)

小さなフライパンに松の実を入れ、弱火で2〜3分乾煎りします。薄いきつね色になり、香りが立ったらすぐ皿に出します。パセリは3mm幅に刻み、松の実を鶏肉の上と玉ねぎの余白へ均等に散らします。酸味を強くしたい場合だけ、分量外のスマックを小さじ1まで追加します。レモンはくし形4切れで皿の端に置きます。食べる直前にレモンを搾り、パンを6〜8cm角ほどにちぎって玉ねぎと鶏を包むように食べます。ナッツは余熱で焦げるので、フライパンに置きっぱなしにしません。

厚い部分の中心温度を75℃で1分以上保つ、という厚生労働省の加熱目安を使います。生の鶏肉に触れた包丁・まな板・手を洗ってから、焼き上がった鶏肉やパンに触れてください。加熱の根拠は[厚生労働省のカンピロバクター食中毒Q&A](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/campylobacterqa.html)にもあります。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
13品目

買い出しの前に

ムサッハンの材料。鶏もも肉、赤玉ねぎ、スマック、オリーブオイル、フラットブレッド、レモン、ナッツ、香草
スマック、赤玉ねぎ、オリーブオイル、鶏肉、平たいパンを先に揃える。パンはナンや厚めのピタで代用できる
材料 分量 日本での代替・注意
骨付き鶏もも肉 4本、約900g 骨なし鶏もも肉なら700g。焼き時間を7分短くする
赤玉ねぎ 中4個、約800g 普通の玉ねぎでも作れるが甘みが強く、色は淡くなる
エキストラバージンオリーブオイル 120ml 80ml未満に減らすとパンが乾く。香りの強いものが向く
スマック 大さじ4、約28g 味の核。レモン汁だけでは代替しきれない
レモン汁 大さじ2 鶏肉の下味用。仕上げのくし形レモンは別に用意
小さじ2 鶏肉用小さじ1、玉ねぎ用小さじ1に分ける
黒こしょう 小さじ1/2 粗びきが合う
オールスパイス 小さじ1 なければシナモン小さじ1/4とナツメグ小さじ1/4
クミンパウダー 小さじ1/2 香りを丸くする。入れすぎると別料理に寄る
フラットブレッド 4枚、直径18〜22cm タブーンで焼いたパン、ナン、厚めのピタ、ラヴァシュ。甘いパンは避ける
松の実 大さじ3、約25g スライスアーモンド30gでもよい。ナッツアレルギーなら抜く
イタリアンパセリ 10g 青ねぎ小口切り15gでもよい
レモン 1/2個 くし形に切って食卓で搾る
アレルギー物質について

この料理には鶏肉、小麦、ナッツ類を使います。ナッツアレルギーがある場合は松の実とアーモンドを入れず、香ばしさは白ごま小さじ2で補います。小麦を避ける場合は米粉トルティーヤで作れますが、パンが油を吸う食感は変わります。

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
190
kcal
10.8g
タンパク質
11.3g
脂質
12.0g
炭水化物
1.3g
食物繊維
325mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

この料理に使う食材・道具

スマックとオリーブオイルが、ムサッハンの味を決めます。どちらかを削るより、鶏肉を骨なしにしたり、松の実をアーモンドに替えたりするほうが、味の方向は崩れません。初めてなら、まずスマックを探します。オリーブオイルとオールスパイスは、家のものの香りが弱いときだけ買い足せば十分です。鶏肉や玉ねぎは近所で揃うものを使います。

スマックを買う条件は、ムサッハン以外にもタブーレフムス、焼き野菜で酸味を使いたいときです。1回だけ試すなら、家にあるレモンとゆかりで代用して見送る選択もありますが、香りと色は別物。商品リンクを開くときは、商品名が「スマック/スーマック」になっていることと、容量が100gであることを確認してください。価格や在庫は変わるため、本文では固定していません。

GABAN オールスパイス パウダー 65g
GABAN オールスパイス パウダー 65g
リサーチ日時:2026年7月19日
エキストラバージンオリーブオイル ギリシャ産カラマタ 500ml
エキストラバージンオリーブオイル ギリシャ産カラマタ 500ml
リサーチ日時:2026年7月19日

この料理の背景|玉ねぎの赤い油がパンに染みる

赤玉ねぎを切り、オリーブオイルを注いで弱めの火にかける。最初は白かった玉ねぎがゆっくり透き通り、スマックを加えた途端、油が赤紫に変わる。ムサッハンは、その油と玉ねぎをパンに受け止めさせる料理です。酸味のある香り、鶏の脂、焼けた小麦の匂いが一枚に重なり、最後はナイフより手のほうが自然に動きます。

ムサッハン(Musakhan / مسخّن)は、パレスチナの鶏料理です。Palestinian Heritage Trailの解説は、北部パレスチナの祝いの農民料理で、オリーブ収穫期に食べる料理として紹介しています。鶏肉をタブーンという窯で焼き、オリーブオイルを含ませた玉ねぎを合わせる料理です。

オリーブの話を抜きに、ムサッハンは説明しにくい。パレスチナ観光・文化遺産省のバーチャルミュージアムは、オリーブ栽培と油が農業経済の柱で、収穫期が毎年の祝祭の季節でもあると説明しています。ムサッハンで油と玉ねぎをパンへ染み込ませるのは、鶏にソースを添えるのとは少し違う。パンそのものを食事にするための組み立てです。

家庭料理の形には幅があります。Asifのレシピ記事で、寄稿者のNadir Abu-Seifはムサッハンをパレスチナを代表する料理として紹介し、村では日常的に作られると記しています。家庭や地域によって、パン、鶏の部位、玉ねぎの煮込み具合は変わります。そこで、日本のオーブンでは「玉ねぎは茶色く焦がさず、パンの中央はしっとり、縁は軽く」と見分けられる配合にしました。

レシピの芯と、変えてよいところ

タブーンそのものを再現できなくても、スマックの乾いた酸味と香りのあるオリーブオイル、油を抱えた玉ねぎ、汁を吸う平たいパンがあれば、ムサッハンらしい一皿になります。パンの種類や鶏肉の部位は日本で買えるものへ変えて構いません。変えた分だけ、焼き時間と食感を調整します。

ムサッハンを大皿で囲む食卓。スマック玉ねぎ、鶏肉、パン、レモン、青菜が並ぶ
ムサッハンは大皿から手でパンをちぎって食べる。酸味、油、鶏の旨みをパンが受け止める

日本で作るときの難所は、珍しい材料の数ではなく、玉ねぎとパンを同じ方向へ運ぶことです。玉ねぎを焦がすと苦味が先に出て、油を減らしすぎるとパンが乾く。焼き戻しを長くしすぎれば、中央まで硬くなります。目安は、玉ねぎの色、パンの乾き具合、鶏の中心温度です。工程ごとに止めどきを書きます。

日本の台所で寄せる分岐

タブーンがない日のパン選び

タブーンはパンの名前ではなく、平たいパンを焼く窯です。日本では、焼き目がつき、油と汁を吸っても破れにくいパンを選びます。厚めのピタ、ナン、ラヴァシュの順に扱いやすく、薄いトルティーヤは油を吸うと破れやすい。使うなら2枚重ねにし、焼き戻しを180℃で短めにしてください。甘いナンやバターの強いパンは、スマックの酸味を鈍らせます。

骨付き肉と骨なし肉の違い

骨付き鶏もも肉は焼き時間が長い分、皮が香ばしく、パンに落ちる焼き汁も濃くなります。骨なし鶏もも肉で作ると食べやすく、平日の夕食向きです。ただし、焼き汁が少ないため、パンにかける油を小さじ1増やします。鶏むね肉で作るなら、厚さを均一に開き、220℃ではなく200℃で18〜20分。中心が75℃に届いたらすぐ出すと乾きにくくなります。

スマックの代用はどこまでできるか

スマックは赤い実を乾かして粉にした、酸味のあるスパイスです。レモン汁だけで置き換えると酸味は出ますが、赤い色と乾いた香りが抜けます。どうしても手に入らない日は、レモン汁大さじ2、ゆかり小さじ1/2、パプリカパウダー小さじ1/2を混ぜると雰囲気は近づきます。ただし、梅の香りが出るため別物です。ムサッハンを一度作るなら、スマックだけは買う価値があります。

オールスパイスを買うかは、香りの使い道で決める

オールスパイスは、シナモン、クローブ、ナツメグを思わせる丸い香りを少量で足します。家にない場合はシナモンとナツメグで代用できますが、鶏料理やミートボールにも使うなら買っても余りにくい材料です。商品リンクでは、名称がオールスパイスであることと、容量が65gであることを確認してください。すでにミックススパイスの香りが強い場合や、ムサッハンを1回だけ作る場合は、無理に追加購入せず代用で構いません。

オリーブオイルは、量より香りを買い替えの基準にする

この料理では、オイルは玉ねぎを煮てパンへ染み込ませる役割があります。家に香りの弱いオイルしかない場合、産地名だけでパレスチナの味になるわけではありません。それでも、果実味や軽い苦味のあるギリシャ産カラマタのようなオイルは、酸味のあるスマックと合わせやすい選択肢です。すでに香りのよいエキストラバージンオリーブオイルがある人、1回だけ試して味の違いを確かめたい人は見送ってください。リンク先では、容量が500mlであることと、産地・商品名を確認します。

食べ方・保存・よくある質問

ムサッハンの保存。鶏肉、スマック玉ねぎ、パンを別々の容器に分けている
保存は鶏肉、玉ねぎ、パンを分ける。翌日は玉ねぎと鶏を温めてからパンにのせるとべちゃつかない

ムサッハンは、ナイフできれいに切るより、パンをちぎって食べる料理です。大皿にのせ、ヨーグルト、きゅうり、オリーブ、青菜、ピクルスを横に置くと、油のある一皿でも重くなりません。酸味を重ねたい日は、レモンを多めに。辛みがほしい日は、唐辛子よりも黒こしょうを少し増やすほうがスマックの香りを壊しません。

作り置きする場合は、鶏肉、スマック玉ねぎ、パンを分け、粗熱が取れたら冷蔵します。鶏肉と玉ねぎは2日以内、パンは当日中が目安です。翌日は玉ねぎをフライパンで弱火5分、鶏肉を180℃のオーブンで温め、厚い部分が75℃に達してから1分以上保ち、最後にパンへ重ねます。全部を一緒に保存すると、パンが油を吸い切って重くなります。

中東の献立を続けるなら、米を足したい日はサウジアラビアのカプサ、ヨーグルトの酸味がほしい日はヨルダンのマンサフへ進めます。大皿をひっくり返して米と鶏を主役にするなら、同じパレスチナ料理のマクルーベ。前菜にはフムスタブーレを置き、肉の香りを足す日はトルコのキョフテと並べると、スマックと香草の使い方が見えます。

よくある失敗

玉ねぎが苦い

火が強すぎます。ムサッハンの玉ねぎは、茶色いキャラメル玉ねぎではありません。弱めの中火で始め、しんなりしたら弱火へ落とし、25分かけて油で煮る感覚です。焦げた点が出たら、水大さじ2を入れて温度を下げます。

パンがべちゃっと重い

玉ねぎの油は必要ですが、焼き戻しが足りないと重くなります。パンだけに玉ねぎを広げて200℃で3分温め、そのあと鶏肉をのせて8〜10分焼く二段階にすると、縁は軽く、中央はしっとりします。保存時は必ずパンを分けます。

鶏肉が乾く

骨なし肉やむね肉で起きやすい失敗です。骨付きなら220℃で25〜30分、骨なしもも肉なら20〜23分、むね肉なら200℃で18〜20分を目安にし、中心温度75℃で止めます。焼き上がり後すぐパンにのせず、5分置くと肉汁が落ち着きます。

スマックの酸味が弱い

古いスマックは香りが抜けます。開封後は密閉して冷暗所に置き、早めに使い切ると香りを保ちやすくなります。仕上げに分量外を少量追加で振ると、加熱で飛んだ酸味を戻せます。レモン汁を増やすだけだと、料理全体が水っぽくなるので注意してください。

よくある質問

タブーンがなくても作れますか?

作れます。厚めのピタかナンを使い、パンだけを先に200℃で3分温めてから鶏肉を重ねてください。薄いトルティーヤしかない場合は2枚重ねにします。タブーンの香ばしさまでは同じになりませんが、玉ねぎの油を受け止める厚みがあれば、ムサッハンらしい食べ方になります。

スマックをレモン汁だけで代用できますか?

酸味だけならできますが、赤紫色と乾いた果実の香りは戻りません。レモン汁、ゆかり、パプリカを混ぜる代用は「ムサッハン風」と考えてください。今後もタブーレや焼き野菜を作るならスマックを買い、1回だけ試すなら代用して見送る判断が合います。

骨付きと骨なしで、どちらを選べばよいですか?

パンに汁を吸わせたいなら骨付き、食べやすさと焼き時間を優先するなら骨なしもも肉です。骨なしは焼き汁が少ないため、パンへ回しかける分を小さじ1のオリーブオイルで補います。どちらも中心温度を確認し、時間だけで取り出さないでください。

松の実がないときはどうしますか?

スライスアーモンドへ替えるか、ナッツを省いて構いません。ナッツの有無は香ばしさの差で、ムサッハンの軸であるスマック玉ねぎとパンの組み合わせは残ります。アレルギーがある場合は、代替品の原材料と製造ライン表示を確認してください。

作るか、見送るか

90分前後を料理に使えて、酸味のあるスパイスと油を吸ったパンが好きなら、4人分で作る価値があります。最初に買うならスマックだけ。パンや鶏肉は身近なもので始め、オールスパイスや香りのよいオイルは次の一皿にも使う予定があるときに足します。

逆に、30分以内の一人分や、油の少ない料理を探している人には向きません。その場合はムサッハンを見送り、キョフテフムスへ進むほうが、買い物も失敗も少なく済みます。

主な参考リンク

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